第99回「デパート閉店に感じる変化」(板紙段ボール新聞R4年10月7日付)掲載より

新型コロナ”終わりが視野に入ってきた”とWHOのテドロス事務局長が先日会見しましたが、今あらためて新型コロナがもたらしたものは何だったのか…筆者の肌感覚で大雑把に振りかえってみたいと思います。

輸送目的が主の段ボールは、コロナで人々の行動自粛に反比例しモノの動きが活発に。宅配やテイクアウトという新たな需要を産み活況を呈しました。

逆に「魅せる」、「購買欲を刺激する」などの役割を担うパッケージは消費者と対峙するシーンが制限されたことに連動し、それに関連する紙器は生産量を減らしたと結論づけられます。

店を訪れなくてもネットで価格、品質を比較しながら賢い買い物ができることを多くの人びとが学習しました。アナログ人間の筆者も含めて。もはや、時間と移動コストを費やす盛り場へ買い物の時代は終わりになる、その象徴的な出来事が東京で起きています。

新宿、渋谷の両駅にある電鉄系の百貨店が幕を下ろします=写真=。地階から屋上まで印刷紙器に溢れており、これらの施設の減少が我々のビジネスにも大きく影響します。

考えてみれば、振り返れば順風・逆風の双方が吹くのが世の常。たとえば、かつて輸出大国日本がその地位を他国に譲り、海を渡る紙器が激減しました。このように環境変化の荒波が容赦なく紙器業界に襲ってきたわけで、いわゆるゲームチェンジャーの出現に踊らされているのです。

しかし、紙は他の素材と異なり”フレキシブル”。これからはゲームチェンジャーと一緒になってまた新たな価値を生み出せば次の成長につながると考えます。こんな流れが沢山起きれば板紙段ボール新聞の『紙器版』がもっと盛り上がっていくことと思います。