第90回「ドブを無くし環境改善」 (板紙段ボール新聞R4年1月7日付)掲載より

一年の計は元旦にあり、業界人として大きな志を持ち2022年を読者の皆さまと共に歩みたいと思います。そこで今年のモットーはこれにしました。


皆さんは、今さら「ドブ?」ということは無いと思いますが、釈迦に説法ながら簡単に言えば、打抜工程において板紙・段ボールシート上の「製品」と「製品」の間に発生するエリアで、打抜後に「抜きカス」になってしまう部分です。

この「ドブ」と「外周カス」を合わせると仕事により異なりますが、ある印刷紙器会社さんに尋ねたところ、1枚のシートで平均3割が打抜後そのままクズになってしまうそうで、つまり歩留まり7割、紙の値段が上昇する中でなんとも勿体ない話です。

なぜ「ドブ」が必要か?それは紙が伸縮した際など印刷のズレなどを吸収するバッファーのような目的だそうです。しかし、今SDGsの国民ひとり一人の実践が求められている時代、世間の人がそんな紙の無駄を知ったら「環境にやさしい」とされる我が産業に対し厳しい目が向けられると思います。

紙だから再生可能と言っても表面加工が施されれば産業廃棄物、そうでなくてもこれらの回収輸送、再生紙化とCO2排出を伴います。対策は、抜きカス発生は勿体ないという意識をもってクライアントと話し合い、印刷デザインの工夫、改善提案の場を設けることではないでしょうか。

また、製函現場におけるさらなるメリットは共有刃で「製品」同志が連結するため、刃の本数が減りムラトリ時間の削減、打抜機の速度向上、機上のバラけ減少、カスのムシリ作業の削減だけでなくインラインブランキングが容易になります。

現場オペレーターさんのメリットを挙げれば働き方改革、現場の魅力アップ、そして加工部門の収益性向上につながります。恐らく今まではユーザーさんに製造部門からモノを言えない社会だったかもしれませんが、これからはSDGsという共通言語で地球の未来を考えた対話をする時だと思います。

今年も読者の皆さまと色々お話しができること楽しみにしております。このコラム、今年も宜しくお願い致します。