第96回「世界の抜型メーカーの夢」(板紙段ボール新聞R4年7月7日付)掲載より

3年近く海外取材ができていません。しかし、全世界の人々がオンライン会議という共通ツールを一斉に使えるようになり、一気に時空を超えて世界中の人々と移動を伴わず、コストをかけず情報交換ができるようになりました。そのような中、時差が少ない東アジア3か国の抜型メーカーさんとオンラインでフリートークをしました。

新型コロナ、原油高、ベニヤ不足、刃材、レーザー用ガス、周辺副資材の価格高騰など抜型ビジネスを取り巻く厳しい環境からため息が聞こえる様相ではありました。しかし、参加者たちはこれらを表す言葉は日本語の様々な“問題”、英語の“プロブレム”を使わずそれぞれを“チャレンジ”、という単語を使っていたのが何よりも印象的でした。つまり“問題”といえば、なんとなく山積していき悩みになっていきます。いっぽう、チャレンジと言えば「よし、タックルしよう」というやる気スイッチが入りますね。

さておき、業界見通しについても国によっては大ロットが中国に流れてしまったものの、紙器、段ボールは地球に優しい、国の発展と共に伸びる産業、そして日系工場の進出、拡大は自社に利益をもたらすと明るい未来を語っていました。 その中で、今後の重要課題を尋ねると、生産のオートメーションとデジタライゼーション。レーザー加工機、オートベンダー、CADソフトまで出来たものの、刃をベニヤ板に打ち込む、ゴム、スポンジを貼る、カストリ型、ブランキング型を作る、何れも職人のハンドメイドの世界、革新的な技術を導入し現場をスマート化させたいと感じている経営者達でした。写真のカストリ型を無人で作る『ダイナミックストリッピングシステム』 も夢のひとつのカタチかもしれません。