第88回「ゲームチェンジャーになろう」(板紙段ボール新聞R3年11月7日付)掲載より

新コロナで世界が変わり、「ゲームチェンジャー」の出現が話題に。主にワクチン競争を繰り広げる医療品メーカーを指していますが、ヨーロッパでは我々の産業が社会生活のゲームチェンジャーになってきました。

   

多国籍大手消費財メーカー「ユニリーバジャパンのホームページを見ると、「年間約800万トンものプラスチックがごみとして海に流れ込み、このままでは2050年の海は魚よりもプラスチックのほうが多くなる」。このため同社ではプラスチックがごみにならない未来へとして、2025年までに、再生不能なプラスチックの使用は半減、販売する量よりも多くのプラスチックパッケージの回収・再生を支援する等、短期間でプラスチック依存度を下げる実効性のある取り組みを打ち出しています。

こうしたユーザーたちのうごきに対して紙器、段ボール業界がこぞって新提案をしてくるのは頷けます。液体飲料はその性質上、ペットボトル、プラ容器が絶対的でした。しかし、本コラムでも事例をいくつか紹介しましたが、最新情報としてこのたびフィンランドの大手板紙メーカー、メッツアボード社はこのほど蓋とボディが一体化した紙製飲料コップのLidlocを開発しました。

(Lid(蓋)をLock(ロック)することから)特徴は紙製の単体構造で組み立てが容易になっており、液体漏れを防ぐ構造。なんといっても紙器の良さは美しい印刷が施せること。コーヒーチェーン店やコンビニ向けでの使用を想定し、従来の紙コップ・サイズ(大)との比較でプラスチックの蓋が不要なため、1コップあたりで約2割のプラスチック削減につながるそうです。

同社の優れていることは世界中に普及させることで迅速にプラごみを削減させるという考えのもと、抜型製造技術およびパッケージ加工機械を世界中に供給するということです。優れた技術のおすそ分けで世界中の海からプラごみを減らそうとしているのです。競争から連携へ、美しい未来のための素晴らしいニュースだと思いました。