第7回 図書館並みに静かな工場 (板紙段ボール新聞H27年2月7日付)掲載より

近年、省エネや廃液・排煙などを出さないなど環境に優しい工場が増え、ドイツでは騒音にも配慮した取り組みが進んでいます。今回は異業種現場へ、有名自動車会社フォルクスワーゲン社ドレスデン工場を見学しました。

「グレーゼルネ マヌファクテュア(ガラスの工場)」と呼ばれ、壁面はすべてガラス張りでSF映画の中に出てくるような未来的建築の中は、自然光が降り注ぎ背後の森が全面ガラスのお蔭で完全な借景、場内は木材を多用しているため、自然と一体化した製造現場です。

 

そして驚くべきところはその静けさ。工員さんの咳払いも聞こえるほどで図書館並みの静けさです。音の出るものは徹底排除。フォークリフトの代わりに電動ロボットカーがライトを点滅させながら最小限の移動をしています。

塗装は専用工場で施し、組み立てパーツの搬入はトラックの代わりに40、50分間隔でコンテナを5台連ねた路面電車が到着します。コンプレッサーを用いるエアードリルの代用はモーター音の出ない電動ドリル、さらにハンマーまで叩く音が出ない材質という徹底ぶりです。

肉声で構内を説明して下さったガイドさんに、「ブンダーバール(すばらしい)!」と称賛したら工員さんに一斉に振り向かれてしまいました。すると「私も同感ですよ」と嬉しそうに軽く目配せして見せました。

ここまで徹底した工場は理想形ですが、騒音対策は推進したいものです。80デシベル以上の騒音に長年晒されると難聴になるリスクが高まります。1m離れての会話で大声を出す必要がある場合は、80デシベルを超える騒音と考えられます。まずは、耳栓やイヤマフで聴覚保護をしたいものです。一日の仕事が終わった時の疲労感もずいぶん変わりますね。