第58回「即効性 抜群!暑さ対策」(板紙段ボール新聞H31年5月7日付)掲載より

岐阜県多治見市で38.5℃、群馬県館林市37.9℃、埼玉県熊谷市37.8℃…段ボール工場が多いこれらの地域、今から今年の猛暑が心配です。工場を稼働させたまま社員の熱中症を回避させた現場を取材しました。

  

この工場内には200kWのエアコンがあるものの、夏になると工場内が40℃を超えることがあります。熱中症対策としてエアコンの増設を考えたところ、老朽化した屋根の修繕費等を含め設備メーカーから約1億円にのぼる見積もりが…。莫大な設備投資額と、増設に伴う年間約1,200万円の電気代アップに、社長は一瞬寒気が走ったことは想像に難くありません。

そこで代わりに検討されたのが、宇宙産業の反射絶縁材料を応用させた8mmの両面の高純度アルミ箔に、バブルポリエチレンシート2枚とポリエチレンシート3枚が内蔵された「遮熱材」を使って屋根と壁をしっかりカバーします。

その結果、必要冷房負荷(設備容量)は1,815kWでしたが、わずか200kWの既設エアコンのみで十分に涼しく、快適な空間に生まれ変わり、暑さ寒さ対策、電力・灯油使用量の削減、熱中症対策、生産性向上に成功しました。

こちらの会社では、全ての現場の環境改善に努め、工場だけでなく大阪営業所や事務所棟も順次同様の工事を実施、併せて日頃から行われている諸々の社員重視の経営が奏功し、人材確保の悩みは全く無いそうです。

「社長、ありがとうございます」と声を掛けてもらえて一番勤労意欲が増しているのは社長かもしれませんね。