第53回「抜型ゴムと働き方改革③」(板紙段ボール新聞H30年12月7日付)掲載より

本テーマで前回は「平盤」の抜型を取り上げましたので、今回は段ボール用「ロータリーダイカッタ」について現場からレポートします。

  

これまでのオランダからのレポートでしたが、段ボールケース生産において非常にハイレベルの事業者が多いのが特徴です。

ロータリーダイカッタは大型径。66インチは大きな箱を抜くためと考えられますが、訪問したEフルートを含む美粧段ボール工場では、大は小を兼ねることで「製品サイズより1周で1個から9個までカットする」とのこと。

運転速度は平盤の倍、そして大きな抜き面積に複数のブランクスで、これなら生産時間の大幅短縮が実現します。

しかし、これまでの期待通りの成果が得られなかったケースでは、抜型に貼られた沢山のコルクやゴムの反発力が低く「高速運転に同調してカスを撥ね出せない」、「摩耗が激しい」、「材質の物質が不安定」などといった問題で運転を阻害してきたということです。

現地メーカーMX社がロータリー専用にポリウレタンをベースに素材開発した撥ね出しゴムが市場に登場し、急速に普及しているようです。

現場のデータでは、カス落ちが75%から99%と好成績をおさめ、時間あたりの生産平米数が時間あたり7200㎡から1万560㎡へと飛躍的に増加。切れ刃は230万ショットで寿命を迎えたが、撥ね出しゴムは偏摩耗も認められず交換不要だったようです。

有功社シトー貿易では、この実績をもとに来年以降、ポリーMX社の高機能ゴムの国内における取り扱いを計画しています。皆様の「早く帰れる!」にお手伝いできたら幸せに思います。

今年もお読みいただき有難うございました。来年も宜しくお願い申し上げます。