第19回 段ボールの鳥居に合掌(板紙段ボール新聞H28年2月7日付)掲載より

昨年は、原寸大の段ボール製の蒸気機関車が日本中を巡ったり、東北の震災被災地では高級スポーツカーが登場、子供だけでなく大人も夢中になるなど精巧な段ボールアートが話題に。アートとまではいかなくとも、ちょっとした段ボール製アイテム、なかなか楽しいものです。

  

年末の買い出しに朝一番でスーパーに行くと、開運招福と書かれた赤い鳥居が売り場で組み立てられ、食品コーナーに設置されていました。

さっそく近くに寄ってよく見ると、なんとこれが段ボール製で、左右の円柱は八角形で表現。そして艶消しの朱色で千社札と共に印刷され、よくできています。まるで芝居の小道具のようです。しかし、とてもシンプルな作りのため、現場で組み立ても解体処分も手軽そうです。

実はこれ、有名な惣菜メーカーのおせち料理向け紅白蒲鉾のPOPアイテムで、冷蔵ケースの上に立てたディスプレイ。鳥居の下には日頃隅にちょこんと置かれていた蒲鉾もお正月包装で今日は主役の座に、冷蔵ケースを占拠しています。

このような一品が置かれるだけでスーパーマーケットの売り場も季節感を演出でき、楽しくなります。きっとこの食品メーカーはライバルを制して年末商戦の勝算もあったことと思います。日頃から複雑な構造のケースや緩衝材などに取り組んでいる段ボール会社さん、これくらいは朝めし前なのでしょう。

これからも段ボールを素材にしたユニークな作品がたくさん出てくるといいですね。そんな思いでこの鳥居の前で手を合わせたのでありました。