紙器段ボールの現場で使われる抜型の刃物は国産の他に、欧州産、アジア産と選択が豊富ですが今国産刃が海外で人気を集めています。その理由を知るため現地スイスへ。
トムソン抜きに使われる刃材が他の工業用刃物と異なる点は、シャープな切れ味が得られながら熱を加えずにあらゆる角度で曲げられるところです。その点ではいずれも同じですが、とりわけ国産のミラー刃が世界各地で採用が進んでいます。
ここスイスでは日本でも有名なブランドのお菓子やタバコなどのハイクオリティ、超大ロットの印刷紙器での採用が顕著です。これらのパッケージはハイスピードで打抜加工されるので、刃だけでなく、面板、木型全体で高精度、耐久性が求められます。
とりわけ現場で聞かれたミラー刃の評価は、低い抜圧で切断できるため切断抵抗が少なく「刃が長持ちする」、シャープに切断でき「紙粉の発生が少ない」、「表面加工されたパッケージにはより効果がある」といったものでした。
国産と海外製では素材の鋼鉄にも違いがありますが、最も大きな違いは刃先の加工方法です。外国刃物メーカーでは、一般的にシェービング(切削加工)方式ですが、日本のミラー刃はグライディング(砥石加工)方式。この製法は切れ味が良く高さ精度も良いのが特長ですが、デメリットは極めて丁寧な作りこみのため生産効率が低く、コストが上がることです。
しかし、合理主義のスイスの現場では価格以上の素晴らしい価値、費用対効果抜群、ジャパンクオリティと称賛しています(※写真はタバコ箱の抜型、ミラー刃仕様)。
今、高級食品を扱うスーパー等が駅構内などに増え、ヨーロッパのチョコレートなどを目にする機会が増えました。これらのパッケージに日本の刃材が使われているのはちょっと意外ですね。