昨今、成熟化した市場における印刷紙器、段ボール業界では中小事業者が大手の傘下に入るというという構図は日本もヨーロッパも同様です。本紙でも同様の事例が報道されて昨今顕著であると感じますが、こうした動きが約20年以上前から活発化していた中央ヨーロッパでは今、中小企業はどうなっているか探ってみました。
EU(欧州連合)成立後ヨーロッパの大手は事業拠点を自国以外に広げ多国籍企業の道を歩みました。印刷紙器大手M社は工場を18か国45工場、従業員1万人、売上は日本円で3000億、さらに東欧でネットワークを今も拡大、トルコ、ヨルダン、ウクライナまで到達しました。拡大の手法は各国に支社を設立、そしてローカル企業を買収を繰り返してきました。こういった多国籍大手が多数存在するヨーロッパでは地場の中小企業はもはや存亡の危機でしょうか。ドイツ・フランケン地方の創業123年の従業員50名の印刷紙器会社を訪ねました。印刷機1台、打抜機1台、製函機2台の陣容ながら高収益経営実現、成功の秘訣を取材すると次のようにまとめられるようです。会社を大きくすることは考えない、事業地域は近場だけ、常に最新生産設備で高品質を確保、効率性アップでとにかく短納期。顧客密着ですべてのニーズを満たす、出来る仕事の幅を広げる、高層倉庫にお客様ごとの製品作り置きをして即納する、社員満足と社員の技術力向上などなど次々に社長の口から自信たっぷりに出てきます。とかく“中小企業は弱者”というイメージで凝り固まった私を変えてくれた嬉しい出会いでした。