オーストラリア発!自然に任せずプラスチックの寿命をプラニング
プラスチック添加剤 “PaktoEarth RAWS-Tech”
オーストラリアに拠点をもつTwelve8 Technologyは、分解が始まってから2年以内に自然へと戻るプラスチック添加剤“PaktoEarth RAWS-Tech”(特許取得)を開発した。PLA樹脂(*1)と異なり工業的なコンポストの条件は不要だ。ASTM D6954 法の試験基準(第1ステップ)(*2)を満たし、認証を取得している。プラスチックは常にリサイクルが可能とは言えず、また常に達成できるものでもない。一方、その生分解は何百年もかかり環境負荷が大きい。PaktoEarth RAWS-Techの役割は、通常のプラスチックリサイクルをすり抜けて自然界に捨てられる、埋め立てられるプラスチックの生分解を加速させることだ。
添加プラスチック製造と用途
ペレット状の添加剤は石油系プラスチックの従来の製造途中で添加される。ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度及び低密度ポリエチレンが適用対象だ。その特性や強度は従来の品とほとんど変わらない。食品と接触しても安全で、インジェクション成形、ブロー成形、熱成形が可能なことはその用途を広げる。
PaktoEarth RAWS-Techの特徴
添加剤自体に生分解の開始を遅らせる要素を組みこめるため、早すぎる生分解を防ぐことができる。生分解開始までの時間は6か月から4年まで設定ができ、商品の使用期限・消費期限に合わせられる。また適切な環境に置くことで分解が早まることは抑制される。設定期間を過ぎて温度16度以上の環境に置かれる、または紫外線にさらされると生分解が誘発される。
生分解工程
触媒による酸化分解から始まり、プラスチックの炭素結合が壊され、酸素がポリマーの鎖に取り込まれる。高分子化合物であるプラスチックが低分子まで分解されると、それはケトンという水っぽい懸濁液(けんだくえき)だ。これが土中の微生物に消化吸収されて水と二酸化炭素へ変わり、マイクロプラスチックは発生しない。分解がスタートしてここに至るまで2年以下だ。
現在
商業利用は主に香港で始まっており、北米では大手冷凍フライドポテトメーカーや有数の鶏肉産業の企業から引き合いがある。今後はPETや他の樹脂にも使える添加剤の開発、海洋またはその他の河川・水路など水中での分解についての認証取得が課題だ。
脚注
(*1)PLA樹脂:ポリ乳酸;植物を原料とし、化学的な工程を経て製造された生分解性プラスチック;コンポストまたは土中など適切な条件のもとで分解する。
(*2)ASTM D6954法:酸化型生分解するプラスチックの試験と評価方法
第1ステップ:ポリマーの酸化分解評価(分子量の低下や物性変化の測定)
引用:PACKAGING DIGEST “Additive Enables Plastics to Decompose Microplastics-Free” Aug 11, 2021