スポーツの未来を守る 『ナイキ コンシダード デザイン』
スポーツ用品の世界的大手ナイキ(Nike)は機能、デザイン共に優れた商品を生み出しながら、炭素と廃棄物の排出量ゼロを目標にしている。サステナブルなシューズの素材やデザイン、製造方法が生かされた商品シリーズに注目したい。
2008年スタートの『ナイキ コンシダード デザイン』(Nike Considered Design)はサスティナビリティと新技術を融合させ、環境への負荷をできる限り抑えた商品シリーズです。
現在も『サステナビリティコレクション』として新製品がラインアップされています。持続可能な経済について考え抜かれた(コンシダード)同コレクションは、廃棄物・ゴミの削減、有害物質の使用削減、環境への負荷を抑える素材の使用、サステナブルで革新的な商品開発を目指しています。廃棄物を減らすには、最初のデザインの時点で無駄になる部分を最小限にすることが最も重要です。デザインしだいで無駄を従来の20%削減できる例もあります。装飾用の上張りや裏当て材を減らすために、表面にステッチや刺繍をいれて構造上の補強にする方法も採用されています。
生地をニットのように編み込んだ部分はフライニット技術 (Flynit technology)とよばれ、生地を型から抜く必要がないため抜きカスの無駄が減ります。環境への負荷を抑える素材としてヘンプやオーガニックコットンが用いられ、有害物質削減のためにエコなインキでロゴをブリントしています。
またウインドブレーカーやフライニットに使用されるポリエステルは100%リサイクル品です。このリサイクルは、40億本以上のプラスチックボトルを埋め立てずに再利用してきたことに匹敵します。
シューズの甲の部分と靴底は、接着剤で貼り合わせ、加圧密着させるセメント製法が一般的ですが、接着剤はリサイクルの妨げになります。メキシコ北西部の先住民族、ララムリ族が履くサンダルから着想を得た商品『ナイキ・コッパー キャニオン』は、一部に紐を用いて接着剤の使用をなるべく抑えています。シューズがその寿命を終える時も分別処理とリサイクルをしやすくするために、パーツごとに簡単に分解できる構造になっています。
商品とその生産の隅々まで環境へのインパクトについて配慮された『ナイキ コンシダード デザイン』。有功社シトー貿易の商品開発に多くのヒントを与えてくれそうです。
引用:●ナイキホームページ
●Greenbiz “Nike’s Considered Design Seeps Into More Products” (2008/10/28)
●ECOLABEL INDEX “Nike Considered Design”