第123回『もう戦争はやめよう!』(板紙段ボール新聞R6年10月7日付)  掲載より

2023年の世界の1人当たり名目GDPランキングがIMF(国際通貨基金)より公表され、日本は前年からまた順位を下げて34位になってしまいました。

統計の単位が米ドルのため、円安が原因にもなっていますが、筆者がお付き合いする海外の経営者の国籍がいずれも日本より上位に位置するので、日本の問題点はどこか、紙器・段ボール産業に焦点を当てて国内外で直接インタビューしました。私のメモ帳から〝情報のお裾分け〟のつもりで列挙します。「日本の品質は高いというが、過剰品質を追い求めている。その裏で失う利益は大きい」、「お客様優先は大切だが、絶対服従で奉仕しそれが正しいか否か見失っている」、「ビジネスは戦争、競合他社はつぶしたいと思っている日本人経営者が多い」、「ゆえに、工場をオープンにできないのも設備は秘密兵器と思っているから」、「〝良いモノは安く〟で頑張りすぎた結果、豊かになれない」、「職人の技を尊びすぎたことも近代化の妨げに」などなど。

では、ランキング上位国はどう考えているのか?答えをまとめると、欧州全体では「〝競合相手と戦う〟という意識は無い。皆で業界を盛り上げよう。そのために用途開発などを通じて知恵を出し合おう」、「製品の差別化が出来ないから価格競争になる。ブランドを含め付加価値をつければ価格競争は無い」、そして「板紙・段ボールという地球環境に優しい産業で活動することは幸せなこと」という誇りも見逃せません。環境教育を受けた若い世代が国政を司り、あるいは企業経営をする時代になったことが多分に影響していると思います。