第122回『温暖化を止めるのは我々だ!』(板紙段ボール新聞R6年9月7日付)  掲載より

当コラムで何度も取り上げた脱プラおよび、紙化の推進、この世界的潮流が板紙段ボール産業にとって市場拡大のチャンスであることは言うまでもありません。一方で日本の環境意識の立ち遅れが近い将来、世界からの日本叩きにならないかと案ずるのは筆者だけでしょうか。
欧州段ボール・紙製品協会(Pro Carton)が欧州5カ国で行った環境意識と持続可能性に関する調査報告書を読みました。

そこでは数々の興味深い事実確認ができますが、一例としてイタリアの消費者意識を紹介すると、年々、気温上昇が深刻化する中で、気候変動の抑制について10人中8人がリサイクルを増やすことが最善策だと考え、次いで再生可能な素材を使用する、そして植林の保護が重要だと考えています。また、商品を購入する際に重要と考えるポイントは、リサイクルのしやすさ(71%)、包装にリサイクル可能な材料が使われている(54%)、包装が再開封可能であることと続きます。イタリア人は同じ商品がプラスチックか、段ボールまたは紙で包装されている場合、実に92%が紙系包装を選ぶとのことです。
紙器・段ボールの営業に携わる多くの本紙読者さんから、脱プラ提案を行っているが包材コストがアップするとユーザーから拒否されるケースが少なくないと、臍を噛んでいらっしゃると耳にします。危険な暑さが続く昨今、今一度業界が一体となって日本社会に警鐘を鳴らすべきではないでしょうか。