第79回「ガラス瓶も転換期に」(板紙段ボール新聞R3年2月7日付)掲載より

欧州から世界に広まる脱プラスチックの大きな潮流で板紙段ボールが大きな役割を担っていることは多数の事例で紹介してきましたが、今度はガラス瓶の代替も現れました。

  

筆者が子供の頃はペット(PET)ボトルは存在せず、酒、醬油、酢、ソース、ジュース類は全てガラス瓶でした。母親にお使いを命じられ空き瓶を酒屋さんに持ち込み、醤油や酢を充填してもらい重くなった瓶を抱きかかえて帰った遠い日の思い出…。

しかし、そこに新たに現れたペットボトルは、軽く使い捨てという手軽さからガラス容器を一気に押し退けました。ところが今、海に捨てられたペットボトルは自然分解には数百年かかると言われ、マイクロプラスチックによる海洋汚染が大問題となっています。

こうしたことから、ペットボトルの紙容器への転換が期待されますが、意外なことに今年あの有名なウィスキー「ジョニーウォーカー」が瓶から世界初の100%プラスチックフリーで紙ベースの蒸留酒用ボトルに切り替わるというのです。

ボトルを開発したのはジョニーウォーカー、ギネスビールのメーカーであるイギリス・ディアジオ社(Diageo PLC)がベンチャー企業支援会社パイロットライトと共同で立ち上げたパッケージ開発会社Pulpex(パルペックス)社です。この新技術はユニリーバやペプシコなどにも提供されることから、瓶に代わる液体飲料が今後増えていくと思われます。

ガラス瓶は再利用されエコのように思われますが、脱炭素社会の視点から砂や石灰岩などの素材を天然ガスで溶かす製法のため生態系が壊されたり、プラスチックよりも重たく輸送においてより多くのCO2が排出されたりと、プラスチックとは異なる問題を抱えているのだとか。

確かに、幼い私も瓶の輸送では高い運賃(おこづかい)を母親に請求していました。