前回に続き、段ボール160年の歴史を持つ英国にて。最新の段ボール会社について北イングランドよりレポートします。
2001年の創業にあたって、「先輩専業と異なることを」と手がけた製品は単色スクリーンベタ印刷で、茶色ではない赤や緑の段ボールで差別化戦略。取引先はユーザーではなく印刷会社や広告会社です。いわゆる下請け仕事になるものの、ユーザーは広告宣伝に金をかける大手ブランドをターゲットとしました。
有名ブランドとなると特殊ニーズや付加価値を追求し、結果的には段ボールにも上質な 印刷を求めます。高い要求レベルに応えるべく枚葉オフセット印刷の貼合もスタート、即断で設備投資を果敢に行うことで大手ブランドの販促をサポート、美粧段ボールケースだけでなくセールスプロモーションに欠かせないディスプレイも生産品目に加わりました。
そして昨今、大手ブランドでも小ロット、多品種化、特に限定バージョン等にニーズが変化していることを捉え、13年に段ボールデジタル印刷機を導入。今年日本の大手段メーカーにも導入されたインクジェット機と同型ですが「これで一層のビシネス発展につながった」とイノベーションを常に追う同社長。極小ロットや短納期化、現場でのデザイン修正や改良、さらに品質・員数クレームゼロといったデジタル技術のメリットに加え、アナログでは不可能だった印刷の光沢・マット仕上がりの作りわけを印刷モードで一瞬に。0.8ミリ厚のマイクロ段ボールから複両面、トライウォールを超えて最大25ミリまで印刷できるため「まだまだ新提案ができる」との思いを巡らしているそうです。写真は木目もしっかり表現された“段ボール製木箱”。