第17回 通販ケースも美粧化へ(板紙段ボール新聞H27年12月7日付)掲載より

昨今、通販が日常的に使われるようになり、その輸送箱としての段ボールが急増していますが、これにも変化の兆しが。
スペイン・バルセロナFEFCO(欧州段ボール工業連盟)技術セミナー会場より速報します。

  

よく段ボール会社の方から“通販の箱は運ぶだけだから安いだけで充分”“印刷も黒一色だから付加価値はつけようがない”と伺いますが、確かにそのとおりと思っていました。しかし、その逆説をFEFCOのセミナーで聞きました。

今や消費活動の3割以上が通販という中国のように、今日のネット社会では買い物は通販へ急速にシフトしています。今はまだ市場拡大期なので、競争段階ではありませんが、近い将来は通販業界も競争、選ばれる時代は確実視されています。値段だけではなく、通販会社のサービス品質や好感度が求められます。

段ボールケースにおいても重要な役割も担うことになり、具体的には高齢化時代、お年寄りに扱いやすい箱。家庭内に入って来る箱ですから安全、清潔、さらに美しさも求められるはずです。このため、安ければ安いほど…というステージは早晩に終わるでしょう。

そして今年、新たな輸送箱が登場しました。世界で有名な通販大手が映画とコラボした箱の六面全面を新作映画のPRに生かしたものが登場しました。当然、放映期間内の企画のため期間と地域が細分化されます。つまり通販ながら小さいロットの美粧印刷となります。

これまで小ロット・多品種はフレキソダイレクト印刷の強みとされてきたものの、この事例のような極端な100にも満たないロットを様々なバージョンで多数を即納することはコストと生産面で実現困難でした。 これを可能にさせたのがデジタル技術で、新たな付加価値として今後も様々なアイディアが形になることでしょう。